ミドル以上のトライアスロンにおいては「食べる気がしない・・・」という弱い気持ちに流されず、事前に決めたルール通りに機械的に補給を続けることが、ガス欠を回避しゴールへと進み続ける秘訣
レースに投入した機材一覧シリーズの最終回は補給食編です。
炎天下で長時間動き続けるトライアスロンのレースでは、レースを通じて自身が「食べ続けることが出来る」補給食選びがとても重要です。
『今回摂取した補給食一覧』
- スイム前:井村屋スポーツ羊羹×4、Mag-on×1、経口補水液
- バイク中:グリコCCDワンセコンド×5、塩熱サプリ×2、経口補水液、粉飴
- ラン中:Shotz ショッツ・エナジージェル(カフェイン無し)×4、塩熱サプリ×2
スイム前:井村屋スポーツ羊羹×4、Mag-on×1、経口補水液
スイム中はさすがに物を食べることが出来ませんが、スイムに関してはスタート前の補給が大事になります。これはスイムの時間帯の消費カロリーの補填というよりも、レース全体のカロリーマネジメントを見越した上でこの時間帯の食事行動を考えましょう。
ミドルであってもレース全体でかなりの量のカロリーを消費しますが、摂取したものが胃腸で消化し身体に吸収されるまでの時間を考えると、レース前に相当の量のカロリーを積み込んでおく必要があります。
レース全体で5時間以上かかりますのでスタート直前まで食べ続けるのが望ましいですが、レース開始後は徐々に固形物を身体が受け付けなくなることを考えると、スタート前に出来るだけ固形物を食べておきたいところ。
ただあまりの重量物や油分が多いものは胃腸の不調の原因となりますので、私は色々試行錯誤した結果、井村屋のスポーツ羊羹を4~5本食べることに行き着きました。
それ以前はマラソン関連書籍を書いている岩本能史氏の影響で餅を食べたりしていましたが、味の無い餅を食べ続けるのは苦行でした・・・。スポーツようかんはさすが井村屋だけあって味的にも満足出来ます。
カロリーの摂取はスポーツ羊羹でまかなえますが、スイム中にふくらはぎが攣ったことが何度かありましたので、お守り代わりにMag-onを1本飲むようにしています。Mag-onはトライアスロン・ロードバイク業界での愛飲者も多く、脚の攣りに悩まされる方は一度試してみてはどうでしょうか。
スイムの脚の攣りに関しては、Mag-onやコムレケア等の漢方に頼る方法もありますが、スイム中に急に強烈な力をふくらはぎに加えないようにすることの方が有効です。
プール練では攣らないのにレース本番で攣ってしまうケースとして目立つのは
- ブイをターンした直後の密集状態から抜け出すためにキックを強めかつ多めに打つ時
- 他のスイマーと接触する時に「当たり負けしたくない」という意識から身体全体に力みを生じさせる時
です。
前者のブイターン後は、泳力に自身がない筆者のようなタイプは敢えて少し大外からブイを回ることで密集状態に突っ込んでいくことを回避するのが良いかと。
また後者のバトル時の全身の力みは、接触に対する意識の持ちようで対応するのが良いと思います。慣れないうちは接触時には相手に負けまい、寧ろ弾いてやろうという思いを持ちがちですが、脚の攣りを回避するには「接触して弾かれてもいいや」位の意識で敢えて力まないままぶつかるくらいが丁度良いと思います。
中には、脚や肩を掴んでくる困った選手もいますが、それを追い払おうとキックを強めに打ってみたり肩を強く回そうとせず、なされるがまま受け流し、マイペースを維持しましょう。
バイク中:グリコCCDワンセコンド×5、塩熱サプリ×2、経口補水液、粉飴
バイクパートでは、中盤辺りから固形物が喉を通らなくなってきますし、そもそも走りながらの補給ですので安全マージンのために出来るだけ開封の手間などを省く必要があります。
そこで筆者はバイクボトルにグリコCCDワンセコンドの中身を複数個分入れておき、一番取りやすいダウンチューブに挿してレースに臨みます。
グリコCCDワンセコンドは他のエナジージェルに比して中身がかなり液体に近いため、水を加えなくてもバイクボトルから直接飲むことが出来ます。味もレモン味であっさりしているので疲れていても喉を通ります。
レース中盤以降、暑さにもやられ補給をすることが億劫になりがちですが、気持ちに流されて摂取を怠ると後半で脚が止まってしまいますので、筆者は「バイクで15km走る毎に必ず1回ボトルから飲む」というのをルール化して徹底遵守しています。
ガーミンの自動ラップを5km毎としているため、15km走るとガーミンからラップを告げる音が必ず鳴ります。これを合図としておけば失念するリスクも減ります。
CCDワンセコンドを入れておくボトルとしては、飲み口を歯で引っ張らなくても飲める、弁が着いたキャップのものがオススメです(キャップ開け締めのストレスがありません)。
その他、汗でどんどん電解質が失われてきますので、ジャージのバックポケットに塩熱サプリを入れておき、バイクスタートと半分の45km通過時点で口に入れるようにしています。なお、塩熱サプリは個別包装タイプがレース携行用に便利です。
フロントハイドレーションにも普通の水を入れるだけでなく、粉末タイプの経口補水パウダー及び粉飴を入れておくことで、給水を通じてもカロリー及び電解質を取れるようにするとなお良いと思います。
粉飴は何袋入れても味が変わらないという人もいますが、筆者はあまり入れすぎるとエグみを感じるので、カロリー摂取のメインはCCDワンセコンドに任せて補助的に1~2袋入れるに留めています。
ラン中:Shotz ショッツ・エナジージェル(カフェイン無し)×4、塩熱サプリ×2
最後にランパートの補給の話です。
まず最初にランパートの補給を考える際に気をつけなければならないのは、「トライアスロンのランにおけるエイドの数は多すぎる」という点です。
トライアスロンでは、最後のランパートで脚が終了して歩いてしまう選手のために、(ハーフ)マラソンに比して2倍~3倍の数のエイドが設けられています。そのため、全エイドで水を飲み補給食を食べていると摂り過ぎのリスクがあります。
しっかり走れている選手なら、エイド1個飛ばしくらいのペースで良いと思います。
またランのエイドでは、各エイド毎にスポンサー提供品や地元名産品などこれまで口にしたことのない補給食が多数並びます。リスク管理的には「練習でしたことのない物事をレースで初めてやらない」というのは鉄則ですが、補給食もこの例外ではありません。
色々食べてみたい気持ちも湧きますが、タイムを求めるのであれば、ここは初物には手を出さずに自身で持参した食べ慣れた補給食でしのぎましょう。私はいつもマラソン時に摂っているエナジージェルの「shotz(ショッツ)」をT2のトランジションバッグから取り出し、バックポケットに入れて走るようにします。
エナジージェルは多数ありますが、ショッツは味的にも喉を通り易く、サイズ的にもバックポケットに収めやすいので長らく愛用しています。風味はコーラがお気に入りです(コーラ味はカフェイン入とカフェイン無しがありますが、刺激の少ないカフェイン無しを選択)
またトライアスロンのエイドでは、コーラやレッドブルが配布されていることが多いですが、これら急激に血糖値を高め、カフェイン等刺激物質たっぷりの補給飲料の摂取は個人的にはあまりオススメしません。
ランの後半数キロを力技で乗り切る時には敢えて摂ることもよいでしょうが、長いランの序盤からこれらに頼ると、以後全部のエイドでお代わりすることを身体(脳?)が要求してきて走れなくなりがちです。
慣れない補給食と刺激の強すぎる飲料には注意しましょう。
まとめ
冒頭の繰り返しになりますが、炎天下でミネラルを失いつつ同時にすごい量のカロリーを消費するトライアスロンのレースでは、補給食のチョイスはバイク・ホイール・ランシューズの選択と同じ位大事です。
選択の方向性もこれら機材と同様に「練習や過去のレースで使ってないものにチャレンジしない」ことが肝心です。
そして最後には、レース前のまともな心理状態で理性的に考えて「これ位のカロリー・ミネラルは摂らなきゃ駄目だろ」と決めた補給量を、しっかりレース中に摂り続けることが大事になります。
そのために、
- 疲弊した状態でも喉を通りやすい形状、味のカロリー源を見つけておく
- 補給のタイミングを経過時間や経過キロ数で予め定めておき機械的に実行する(都度都度「脳」に判断させない)
ようにしておきたいところです。
補給の失敗はレースの失敗を意味します。補給食は色んなメーカーから色んなアイテムが出てますので、あれこれトライしてみましょう!
ではまた。