アイアンマンセントレア2018で投入した機材一覧│バイク編

アイアンマンセントレア2018で投入した機材一覧│バイク編

昨日に引き続き、アイアンマンセントレアで使った機材紹介&クイックレビュー、バイク編です。

こちらも色々とコダワリがありますので、何か一つでもお役に立てれば。

  • バイク:Ceepo Viper
  • コンポ:シマノデュラエース&アルテグラMIX Di2
  • ホイール:MAVIC COMETE PRO CARBON SL UST
  • タイヤ:MAVIC(チューブレス)
  • パワーメーター:Pioneer
  • ハンドル:プロファイルデザインT4
  • サドル:スペシャライズド・シテロ(現行モデル)
  • ヘルメット:OGK KABUTO(koofu)WG-1
  • バイクシューズ:シマノ RC-7
  • サイクルコンピューター:Garmin Edge 520
  • 給水システム:Xlab torpedo versa

バイク:Ceepo Viper

元々はロードバイクにTTバーをポン付けでレースに参加してましたが、去年からタイムを求めてTTバイクに乗り換えました。TTバイクでしっかりポジションを出すと、最大の空気抵抗である人間の前面投影面積を小さく出来ますので、ロードバイク時代より少ない出力で間違いなく速度が出ます。

TTバイクを選ぶ際に重視したのは、

  • シマノ純正パーツで組めること(特にブレーキ)
  • リアエンドがピストエンドでなくロードエンドであること
  • 行きつけのショップでの取扱があること

でした。

意外とこの要件を満たすバイクは少なくて、トライアスロン会場で見かけるメジャーブランドでは自動的にCeepo一択となりました。サーベロP3はピストエンドで×、スペシャライズドSHIVはブレーキがメーカーオリジナルで×、TREKはブレーキと取扱ショップが直営店のみで×などなど。キャノンデールSliceはスペック的には合致するも行きつけショップで取扱なし。

シマノ純正パーツで組めることは日々のメンテで重要ですし、レース遠征時に思わぬトラブルがあった時にすぐ代用パーツがメカニックから手に入ることで危機対応できます。

またTTバイクというと空気抵抗削減のためにメーカーオリジナルブレーキを設計しがちですが、トラブル対応はもとよりシマノより効きが劣るため、日々の練習で街中を走る時にストレスとリスクが大きいです。

出来ればCeepoもリアブレーキ位置をBBではなくシートステーにしてほしいと購入時には思っていました。しかし剛性のあるBB下に設置されていることでブレーキの効きはシートステー型より良いですし、シートステーにブレーキングに耐える剛性を持たせなくてよいので、振動吸収性が良くランに脚が残せる利点がありました。

なお、コンポが全てシマノパーツ&リアブレーキがシートステーにあるモデルとしては、通販専業のcanyonのTTバイクが該当するのですが、canyonお断りというショップも多いので見送りました。メンテの腕に自身がある方は値段的にもスペック的にも良いと思います。

コンポ:シマノ デュラ+アルテDi2

まずパーツは全てシマノで揃えることは強く推奨したいと思います。変速性能、ブレーキ性能等トータルで見てシマノ純正が一番安心ではないでしょうか?レースではトラブルを減らすことが大幅なタイムロスを防ぎ実力を出し切るために大事です。

またTTバーをつけるならDi2はもはや必須です。TTバーを持ってもブルホーンを持っても変速出来るというのは、登りの多い日本のレースで小まめにギアを変えてランに脚を残す上で欠かせません。

さらに最近シマノが導入したシンクロシフト(=FDの手動変速が不要でRDのシフトに合わせて自動的にFD変速がなされる)を設定しておけば、ミドル~ロングの疲労した状況下で、アウター×ロー(インナー×トップ)にならないよう気遣う必要がなくなり変速ストレスから開放されます。

反面、シンクロシフトはフロントのアウターからインナーに切り替わるタイミングを把握してないと、フロント変速の瞬間に踏みすぎたりして駆動ロスがあるのですが、これはサイクルコンピューターで解消できるので後述します。

デュラとアルテグラの構成ですが、①ブレーキレバー ②TTシフター ③クランク ④ブレーキがデュラで他がアルテです。

ブレーキレバーはレバーのカーボン化の差、TTシフターは1世代古いのですが当時はデュラは2ボタン、アルテは4ボタンでした。TTシフターでフロント変速は不要と考えたので、ミスが起きにくい2ボタンのデュラを選好。

クランクはデュラのみ167.5mmのショートクランクがあり、前傾がきついTTポジションで股関節の動作を良好にすべくショートクランクを。ブレーキはレースはもとより日頃の実走練習でも命を預ける大事な部品なのでケチらずデュラを選んでいます。

その他、BBをウィッシュボーンのスレッド式にしていることで、長期使用を前提とした音鳴り防止・メンテ性確保を図っています。

ホイール:MAVIC COMETE PRO CARBON SL UST
タイヤ:MAVICチューブレス(25mm幅)

ホイールは今シーズンから投入したMAVICのCOMETEと同社チューブレスタイヤの組み合わせです。実はロードバイク界隈では、今シーズン最もシーンを賑わせているのがこのMAVICのチューブレスシステムです。

筆者もそれを受けて、TTバイクで試してみるべく導入してみたのですが、これは噂通り「大当たり」だと思いました。

自動車やバイクを嗜まれる方はチューブレスタイヤが当たり前かもしれませんが、自転車業界では中々規格が定まらず、チューブレスタイヤの完成度がイマイチでした。そこに最大手ホイールメーカーの一角であるMAVICが自社でホイールとタイヤを共に開発し新規格を打ち出して来ました。

この規格というか商品の精度が素晴らしいもので、ようやく実用的なチューブレスシステムがロードバイク界にも現れたというわけです。

メーカー推奨通りシーラント30ccを入れて運用していますが、灼熱のセントレアのレースで酷使しても全く問題ありませんでした。

チューブレスのメリットとして

  • 低圧の5.5BARで運用可能なため振動吸収性が良い
  • チューブが無いのでそもそもチューブ破断に伴うパンクリスクが無い。またタイヤ自体に穴が空いても小さいものならばシーラントがすぐ塞ぐのでレース継続が可能

というものがあります。

前者はランに脚を残す必要があるトライアスロンにはうってつけの機能ですし、後者もトータルで良いタイムを出すにはトラブルリスクを減らすのが必須な競技性質にあっています。

ちなみに国内で買うとお値段がかなりしますが、筆者は自転車本体を買ったお店に相談したところ「別店で購入したものでも工賃を払えば対応してくれる」とのことでしたので、色々手を尽くして格安で購入することが出来ました(ただ自転車はショップとの長い付き合いが必須なので、本来は行きつけショップで購入することを推奨します)。

パワーメーター:Pioneer(右側計測)

パワーメーターもホイールと同様に今シーズンからの投入です。各社からパワーメーターが出ていますが、実績・信頼・国内メンテ体制を考えると現状Pioneerが一番のおすすめと言えます。

CeepoはBB下にブレーキがあるので、左クランク裏につける左側計測パーツは取り付けられず、右側計測だけにしています。

以前サイクルショーでパイオニアとガーミンの両側計測のパワーメーターに一定時間乗ったのですが、ペダリングの左右比は49%:51%でほぼ左右差がないことが確認出来ていましたので、やむを得ないものとして右側計測だけとしました。

店舗やイベントで両側計測モデルを試されて左右差がある方は、いまでしたらガーミンかシマノがお勧めかと思います。ガーミンはペダル型なのでどんなブレーキでも両側取り付けが可能ですし、シマノはBB下のブレーキでも両側取り付けが可能なフレームが多いらしいです。

そして肝心のパワーメーターの評価ですが、これも「大当り」です。何ならチューブレスホイールより大事なので「超大当り」といっても過言ではありません。

これまでは速度計と主観的強度でペダリングをしていたのですが、パワーメーターを見ながらひたすら一定のパワーで踏む、というのはミドル以上の距離のレースで疲労を溜めないためには必須だと思いました。

正直去年まではバイク前半は勢いで踏みすぎ、後半の登坂区間でダレて大幅スピードダウンというのが定番でした。今年はパワーメーターを見ながら(パワーメーターだけ見ながら)走ることで、飛ばしすぎることなくダレることなく走れました。

ロングでは主観や勢いに頼らず、バイクもランも「トライアスロン・マシーン」になりきることがトータルで良いタイムを出すのに必須ですが、自然影響を受けがちなバイクではパワーメーターの貢献度は半端ないです。

今ならアマゾンで調整済みの左クランクモデルを買うのが、コスパの面でも一番でしょう。

BB下ブレーキの方はGarmin Vector(シマノは販売開始されたばかりなのでGarminが実績で勝る)。Vector 3になってバッテリーポッドが内蔵され、見た目のスマートさが向上すると共にカーブ時に路面と接触するリスクも減りました。

サドル:スペシャライズド・シテロ

サドルは悩む人は悩むし、気にしない人はあまり気にしないという好みが分かれるパーツです。私は以前はサドル沼にハマっていましたが、フォームを見直してからある程度なんでも大丈夫になりました。

いつかフォーム&ペダリングについても書いてみたいと思いますが、コツは坐骨でなく恥骨で乗ること。いわゆる「おじぎ乗り(やまめ乗り)」(意味がわからない方はgoogle検索してみてください)的な乗り方をするとサドル沼から開放されやすいと思います。

シテロは、旧モデルはサドル中央に穴が無いタイプだったのですが、現行モデルは穴あきサドルになっています。尿道圧迫による痛みのリスクも減り、ますますトライアスロン・サドルとして完成されてきたと思います。

ヘルメット:OGK(koofu)WG-1

ヘルメットはロードで使っていたものをそのまま流用しています。どんどん新しいモデルが発売され、空気抵抗削減を謳っていますし、TT用のヘルメットもあるので次の投資候補なのですが、足元ではパワーメーターやチューブレスホイールといったより効果の大きいものに先行して投資をしました。ただ、

  • 気温の高い環境下でのレースがトライアスロンでは多いこと
  • 素人レーサーがミドルやロングで目標とする平均速度域は30km~36kmであること

を考えると、エアロヘルメットへの投資効果はそんなに高く無いのかもしれません。この速度域なら、プロが使うタイムトライアル専用ヘルメットまでは不要でしょうから、私も次買うなら「エアロ&高い冷却効果」の併存を謳っているロード用の最新モデルにすると思います。

バイクシューズ:シマノRC-7

バイクシューズはトライアスロンモデルではなくロード用を使っています。エイジレーサーのミドル以上の距離では、トランジションで1分1秒を争いませんので、しっかりペダリング出来るロード用シューズを選ぶのが良いと考えます。

フィット感向上とマメ等が出来るトラブルリスク回避のために、当然T1で靴下も履きます。

シマノを含め最近のロードシューズはBOA採用がほとんどなので、T1・T2での脱ぎ履きも容易ですし、走りながら締め増す・緩めることが出来るのも長い時間乗る上で痛みの発生を回避出来ます。

ちなみにロード用の最上位モデルを使うとソールが硬すぎるので、ロングを視野に入れるアスリートは一個下のランクのシューズが良いのではないでしょうか?私もトップモデルのRC9ではなく、一個下のRC7を使っています(シマノはメーカーカタログでソール硬度を数値で出してるので参考になります)。

サイクルコンピューター:Garmin Edge 520

サイコンはGarminです。メジャーブランドの安心感がありますし、対応マウントも多いのでやはりガーミンがおすすめです。またスマホ接続のクラウド上のデータ管理ツールも使いやすいです。

ガーミンで特におすすめの設定としては、

  • Di2にワイヤレスユニットを接続してのギア比表示
  • (同じくDi2接続しての)シンクロシフト待機動作のサウンド通知
  • (同じくDi2接続しての)最大/最小ギアのサウンド通知

です。それぞれ説明します。

まずEdgeとDi2をつなぐにはワイヤレスユニットというパーツがいるのでショップに相談してください。これをつけると、Edgeで「(フロント)52-(リア)16」のようなギア比が見られるようになります。

練習時において「『52-16』が85回転で気持ち良く回せてる時は調子がいいな」など、無風・平地で正常時にどのギアをどれ位回せるかを把握しておくのはとても大事だと思います。

レースでは傾斜や風向きもあるので、ペース管理のメインはパワーメーターに譲るのですが、平地に戻った時にどのギアを回せているかも重要な指標となります。

またコンポの項で言及したのですが、Di2とEdgeを繋いでおくとシンクロシフトをする1個手前のギア組み合わせになった時に「ピッ」という通知音がなります。これを聞くことで「次にリアをシフトチェンジしたらフロントも動くな」という心構えが出来るので、シフトボタンを押した瞬間に一瞬脱力することでスムーズにフロント変速が出来ます。

このサウンド通知無しに、ペダルをベタ踏みしている最中に突然フロントが変速すると、焦り&パワーロスが発生しますので結構重宝する機能です。

同じくリアが一番トップ or 一番ローギアになった時にも「ピッ」と通知音が鳴るので、「これ以上ギアが無い」と心構えが出来るのと、無駄にリアの変速ボタンを押すミスが防げます。

ロングのバイクパートでは如何にストレスを無くすかが大事ですので、これらサウンド通知は心理的にも助けになります。

パワーメーターを付けない方はケイデンス計・心拍計とのセットモデルを。

給水システム:xlab torpedo versa

トライアスロンは高温のレースが多く頻繁に給水が必要です。ダウンチューブのボトルから飲んでも良いのですが、TTポジションはロードポジションよりダウンチューブに手を伸ばすのが大変です。

そこでTTバーの間に設置するハイドレーション・システムがおすすめなのですが、色々試した結果、xlabのtorpedoに行き着きました。このメリットは、

  • Garminマウントの位置がかなり前方にあり、TTバーを握ったまま見やすい
  • ストローの飲み口が「ハイドラパック」というトレラン用大手メーカーのOEM品であり飲みやすさ&漏れにくさが高性能
  • Garminマウントがボトルのストッパーになり、ボトル落下リスクが低い

です。

まず意外と見過ごしがちですが、フロントハイドレーションのGarminマウントの位置は結構重要だと思います。個人的な好みはできるだけ先頭側についていて欲しく、TTバーを持ったまま余り視線を動かさずに見える位置にGarminがあるのが安全性から見て理想です。

Torpedoはバイク写真の通り、フロントハイドレーションの先に飛び出したマウントの先につけるので、TTバーを握りながらすぐ見えます。

ストローの飲み口は、昔のプロファイルデザインのモデルのような純粋なストローもある中で、Torpedoはハイドラパック社製のものがついています。トレランをやっている人ならよく知っているメーカーで、これは歯で軽く噛むことで飲み口が開き、それ以外の時は閉じていて漏水を防ぎます。

飲み口に同様の仕組みを取り入れている他社品のフロントハイドレーションもあるのですが、「餅は餅屋」で自社品に拘らず優秀なパーツを採用する姿勢は素敵です。

最後にボトル落下リスクです。Torpedoのようにボトルを差し込む形のフロントハイドレーションを過去に幾つか使っていたのですが、レース中にボトルを落としたことがあります。

トライアスロンのコースは、距離を稼ぐ必要から色々な所を走らされ、時には砂利道のケースもあります。当然振動は大きくボトルが抜けて落ちてしまったのです。

炎天下のレースで補給水を失うのは身体に大きなダメージですし、何より落下したボトルで後走する選手に落車リスクを与えるのはあってはならない行為です。

そのためこれまではセロテープで止めたり、ゴム紐を掛けて止めたりしていましたが、このTorpedoの「ガーミンマウントで物理的に蓋をしてしまう」ことで問題は解消されました。

ちなみにボトルの取り付けですが、ガーミンマウントのバーの付け根に六角レンチ対応のネジがあり、これを緩めることでバーが前方に倒れボトルを差し込めるようになります。その後ガーミンマウントのバーを起こし、レンチで締め付けることで固定します。

日常のトレーニング時などは、そこそこの強度で締めておくことで、マウントバーがボトルの最後のストッパーを兼ねつつ手で力を入れればバーを上げ下げする運用が可能です。

まとめ

なんだかんだで書いているうちにかなりの分量になってしまいました。

特に言いたかったことは

  • パワーメーター最高!!
  • MAVICのチューブレスタイヤ最高!

ってことです。

しつこい程コメントしている通り、アイアンマンでは「如何にトラブルリスクを減らすか」・「如何にストレスを減らすか」がタイム向上および完走に重要になってきます。

バイクパートは3種目で最も長時間の競技です(ランで歩かない場合…)。日頃の練習からしっかりと自分のスタイルに合う機材を追求していくと、色々とリターンがあると思います。

ではまた。


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