高反発素材BOOSTフォーム100%のソールが弾む!問題はそのリズム(反発スピード)が身体に合うかどうか・・・
評価 ★★ 2/5
数年前にアディダスが鳴り物入りでBOOSTフォームを打ち出して来た際、店頭でBOOSTフォームのデモ機材(レバー付きボールを持ち上げてBOOSTフォームに落とすギミック)を試したりもしましたが、機能性については懐疑的でした。「確かに反発力があるのはデモ機で分かるけど、その分脚も同じ力で押し返されるのでないか」と。
しかし初代Adizero japan以来 Adidas一択であった筆者としては迷わず購入して履いてみました。以下、実走レビューです。
①フィット感
足入れは「いつものAdizero」です。他社メーカーに比べやや細身のアッパー&ソールで、他のAdizeroシリーズと同じサイズ感でタイトフィットします。付属のシューレースから毎度お馴染みのキャタピランに替えることで、フィット感の向上・日常の脱ぎ履きの簡易化・トライアスロン利用時のトランジットタイム短縮をはかります。
②安定性
BOOSTフォームは決して柔らかい素材ではないため、接地して安定感に欠ける感じはありません。Adizero takumiシリーズほどソール土踏まず以後が絞り込まれていないので、フラットに着した際の不安感もなしです。
③クッション性
100%全面BOOSTフォームのソール。この評価が難しいところで、上の写真の通りソールの厚みはそれなりにあります。そのため薄底シューズを履いたときのような足裏がヒリヒリとする接地感はないです。但し高反発ソールが地面を押し返すとともに脚も押し返してくるからか、走り終わった時に脚に不思議な疲労感が残ります。
④反発力
BOOSTフォームが生み出す反発感は独特です。確かにソールに乗っかる感じで走ると宣伝文句通りBOOSTフォームが弾むのを感じます。イメージで言うと子供の遊具のゴム製のスーパーボールのような感じです。従来のEVA製ソールよりも力の入力に対してより早いスピードで押し返して来ます。
このリズムが身体(脚)に合うかがこのシューズを気に入るかのポイントとなります。私のトライアスロンチームメンバーには「スイム・バイクで脚が疲れれてもこのシューズなら勝手に進んでくれる」と言う人もいます。確かにソールに乗り込んでいくと勝手に弾んでくれる感じがするので、そのような使い方にはあってるのかもしれません。
ただ主体的に脚を前に送り出して走ろうとしている時には、個人的には反発のリズムが合いません。従来のEVAフォームの反発に脳が慣れすぎているせいかもしれませんが・・・。
⑤重量

Adidasのランニングシューズチャートでもサブ4モデルに位置づけられるこのシューズ、BOOSTフォームという実験的な素材を使っていますが、このレベルとしては標準的な重量ではないでしょうか。履いてみて特に重さを感じるものではありません。
総評
何か決定的な欠点があるわけではないのですが、マラソン中ずっと履き続けるランニングシューズは脚や肌感覚に合う合わないは重要な判断要素になります。その点で言えば筆者的には現状「なし」という判断になってしまっています。
Adizero takumi renをここ数年のベストシューズの一つではないかと考えているのですが、同シューズをアシックスから移った三村氏が開発する際にBOOSTフォームの搭載をソール全体の確か2〜3割に抑えたことは有名な事実です(Adidas的にはBOOSTフォームの商業的成功のためもっと高い搭載比率を実現したかったはず)。三村氏の開発姿勢から見ても、薄底でシャンクの反発によって加速していく従来型レーシングシューズを好むタイプのランナーとは、BOOSTフォームはやはりどこか相容れないものがあるのかもしれません。
アイアンマンのランなど疲れきった脚でこの靴を履けばまた評価が変わるかもしれません。